ロボットに関して
21世紀はじめから深刻度を増していった海面上昇により、かつて人口集積地であった海岸線を中心に、人類は上層都市の建設に着工。
過酷な環境での労働を余儀なくされるこの大事業に、多種多様なロボットが大量に開発されることとなった。
上層都市建設に自らの生存を賭けた人類は多くの予算資材をロボットに投入し、そのためロボット産業は急速に発展。2030年には、新世界建設に欠くことの出来ない基幹産業となったのである。
世界各国で熾烈な開発競争が行われ、21世紀はまさにロボットの時代となった。

ロボット産業発展の主要因は、もちろん上層都市建設のための労働需要であったが、やがて広範囲な分野に波及し、露天掘り掘削用の巨大な重機ロボットから特殊素材を大量生産するナノサイズ・ロボットの製作まで産業規模は拡大する。
家庭用ロボットはそれまでにも開発が試みられてきたが、こうしたロボット技術全体の発達の恩恵にあずかって開発競争が激化していった。
アニメや漫画の影響からか、特に日本では人型ロボット開発の情熱が高く、家事補助として家庭用人型ロボットが早くから普及する。これが世界の富裕層にも受け入れられ、人型ロボットが世界のロボット・スタンダードとなるキッカケを作ったと言われるようになる。

軍事面でのロボット運用は早い段階で研究開発が始まり、既存兵器のロボティクス化だけではなく、人間の兵士から人型戦闘ロボットの転換が図られた。しかし、人近似ロボットによる戦術で戦争の長期化泥沼化が強まり、アンダーグラウンドに流出した技術でテロが活発化されたことからロボット技術規制の声も上がり始めることとなる。