頭上にそびえたつ上層都市の下で、スラム化した下層都市が形成されている。今も東京湾で拡充工事が続けられている大堤防によって、水没や侵食の危機は逃れているが、時代からは取り残されたような古い建物が立ち並び、上層都市への立ち入りを許されない貧困層の人々が生活している。
頭上にそびえたつ上層都市の下で、スラム化した下層都市が形成されている。今も東京湾で拡充工事が続けられている大堤防によって、水没や侵食の危機は逃れているが、時代からは取り残されたような古い建物が立ち並び、上層都市への立ち入りを許されない貧困層の人々が生活している。
20世紀半ばから首都東京に建設されてきた、長さ300kmを超える高速道路。部分的に崩落するなど、もはやかつての威容はなく、無残に打ち捨てられている。2030年代には上層都市建設反対派のテロによる爆破事件なども多発し、本来の交通インフラとしての機能を失っていた。
もともと埋立地であったため、海面上昇でいち早く被害を受け、予算不足に悩む政府は有効な対策を立てられず、法的には水没地区に指定される。海面から突き出た建築物に一部、人間が住み着いた場所があるものの、無人の廃墟群が連なっている。貨物船の運航ルートのみ、建物の撤去など整備が行われている。